3月6日、日本中央競馬会(JRA)はギャンブル依存症対策として、家族がJRAに申請すれば患者本人の意思に関係なく、競馬場や場外馬券場への入場を禁止できる措置を取ることを決めたというニュースが入ってきました。
政府のギャンブル依存症対策関係閣僚会議が2017年8月にまとめた提言を受け、JRAが対策に動き出したようです。
対策として、JRAは家族から提供された患者の顔写真情報を競馬場や場外馬券場に配り、職員が見つけた場合は声をかけて入場させないという方法をとるとのこと。
しかし、入場門が複数ある競馬場もあり、どこまで徹底できるかは不透明。
また、JRA幹部が「対策をアピールすることで、ギャンブル依存を抑制する効果にも期待したい」と言っているそうで、本当にアピールだけでギャンブル依存を抑制する効果があるのか疑問が残ります。
JRAは、2018年の秋から実施を目指していると明かしたそうですが、具体的な日付や利用方法などは現時点では分かっていません。
しかし現時点で既に、家族申請によるネット投票の利用停止ができる制度というものがあります。JRAでは、電話やインターネットで馬券を購入できるサービスがあるのですが、このサービスの利用を停止することができるという制度です。
この制度は、2017年12月28日から受付が始まっており、2018年秋から実施されるとみられる、競馬場への入場禁止制度の対象者の条件なども、これに似たような条件になるのではないかと考えられます。
以下が、ネット投票の利用停止制度の規定です。
1.対象となる会員
○ | 医師からギャンブル障害の診断を受けている会員 |
○ | 医師の診断は受けていないが、外形的にギャンブル障害の状況にあるおそれがあると認められるものとして、ネット投票での勝馬投票券の購入金額が、家計の経済状況等に照らして、本人と家族の生活維持に重要な影響を及ぼしている蓋然性が高いと判断される会員等 |
2.申請できる家族
○ | 会員本人と同居している親族(6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族) |
3.申請手続き
○ | 会員家族が申請書類(申請書・住民票・診断書等)をJRAに提出 |
○ | 会員本人が上記1に該当するとJRAが判断した場合、ネット投票の利用停止を実施 |
注記: | ネット投票の契約当事者ではない会員家族からの申請に基づき、会員本人の意思にかかわらず、ネット投票の利用停止を実施 |
注記: | そのため、会員家族による申請に際しては、会員家族がJRAに対して客観的な判断材料となる情報(医師が会員家族に発行した会員本人に関する診断書等)を提供(JRAに対する当該情報等の提供についての会員本人の同意は不要) |
4.その他
○ | 契約当事者である会員本人の意思にかかわらず、ネット投票の利用停止を実施するため、 【利用停止前】会員本人による「異議申立て」 【利用停止後】会員本人による「解除申請」 を可能とするが、いずれも「ギャンブル障害」の回復証明等の要件を設定 |
競輪やオートレースとの連携
競輪やオートレースなどの主催者と連携し、統一の依存症相談窓口を今春に設置する準備も進めているそう。
現時点でできる競馬の依存症対策
家族がギャンブル依存症だった場合、この対策には淡い期待を抱いていることでしょう。
少しでも対策があるなら、利用したいと考えるはずです。
そこで、競馬場への入場禁止の対策はまだ始まっていませんが、先述したように、ネット投票の利用停止であれば、既に可能になっています。
ギャンブル依存症の家族が、ネットで馬券を買っていて止めさせたい方は、この制度を利用してはいかがでしょうか。
以下のリンクに詳細が書かれています。
手続きは、電話問い合わせでするようです。
もちろん依存症患者本人からの利用停止制度もあり、その場合は家族申請の場合と手続きが異なるようです。(詳細は以下のリンクより)